2009/04/10(金)旅に出よう、滅び行く世界の果てまで。

はてブ数 2009/04/10 05:40 レビュー::ラノベつーさ

[extasin:4840241929:旅に出よう、滅び行く世界の果てまで。 / 萬屋 直人:世界は穏やかに滅びつつあった。「喪失症」が蔓延し、次々と人間がいなくなっていったのだ。人々は名前を失い、色彩を失い、やがて存在自体を喪失していく…。そんな世界を一台のスーパーカブが走っていた。乗っているのは少年と少女。他の人たちと同様に「喪失症」に罹った彼らは、学校も家も捨てて旅に出た。目指すのは、世界の果て。辿り着くのかわからない。でも旅をやめようとは思わない。いつか互いが消えてしまう日が来たとしても、後悔したくないから。記録と記憶を失った世界で、一冊の日記帳とともに旅する少年と少女の物語。]

何を評価したせいか忘れたけれど、Amazonのおすすめ(笑)に出てきていたので
送料もったいないし、と(笑) タイトルで選んでポチ。

結論から言うと、これは当たりだった。
ポチったきりずっと積んであったのだけどもっと早く読めば良かった。

設定的にはかなり絶望的な世界で、少年と少女が旅をしていく。その道中に出会った人や出来事を、少年と少女の視点で綴っている。

舞台はたぶん北海道なのだけど、名前が出てこない。
それどころか主人公である少年と少女の名前すら出てこない。
固有名詞が一切出てこない小説。

 少女は読書をする趣味はなかったが、それなりに読書家な少年から教えられ、以来気に入っている言葉がある。
 鏡の国で出会ったとある女王に、主人公の少女が言われるのだ。
『この場に留まりたければ走れ。前に進みたければもっと速く走れ』と。
 少女は、少年と一緒に居るために、旅を続けているのだ。
 それに邪魔なモノは、全部放り出してきた。道は前にしか、ない。
 もし二人が故郷へ帰るとすればそれは、地球を一周したときだ。

イラストもかわいいけれど、それ以上に文字から清潔感というか、さわやかさみたいなものが感じられたり。
複線の張り方もかなりツボで、とても楽しめた一冊だった。
旅モノとしてはキノの旅が有名で似ている感じもするのだけど、その淡々とした展開に比べると、
設定はこちらの方が絶望的なのにも関わらず、明るく楽しく笑いあり涙あり……。
続きが読みたいような気もするけど、設定が絶望的である以上、読みたいような読みたくないような。
まぁ、一冊完結、だと思うけど!

私は、普段ラノベを買って読んでも、一度読み終わったらあまり読み返すことはしない人なのだけど、でも、これはたぶん、また読み返しそう。
それくらい、よかった。

なんかアレだな。
前向いて走ろうと思うし、少年は少女を守ってあげようという気に、なるよ。

と、なんかレビューカテ書いたの久しぶりだな。
それなりにいろいろ読んではいるのだけど……。